都市ガスが敷設されていない地域で戸建て住宅を建てる際に、プロパンガスを使用した住宅にするか、全てを電力で賄うオール電化にするかを選択できます。
しかし、ここで気になるのがどちらが光熱費を安くできるかではないでしょうか?
そこで今回はプロパンガスとオール電化のメリット・デメリットを紹介した上で、光熱費を比較し、どちらが総合的にお得なのか解説します。プロパンガスかオール電化でどちらを選べばいいかわからない方はぜひ参考にしてください。
Table of Contents
プロパンガスのメリット・デメリット
まずプロパンガスのメリット・デメリットを紹介します。
プロパンガスのメリット
- 設置場所を問わず全国各地で利用できる
- 災害に強い
設置場所を問わず全国各地で利用できる
都市ガスが使用できるのは首都圏や関西圏等の一部の地域に限られますが、プロパンガスは全国各地で設置場所を問わずに利用できます。そのため、都市ガスの普及率が低い地方であっても場所を気にせず物件が建てられます。
災害に強い
東日本大震災が発生したとき、ガス・電気・水道などのインフラは大ダメージを受けました。特に岩手県・宮城県・福島県の被害は甚大でライフライン復旧に相当の時間がかかりました。
そんな中、最も早く復旧したのがプロパンガスでした。被害が大きかった3県でプロパンガスが復旧したのは震災から41日後で、都市ガスの53日や電力の99日よりもかなり早く復旧しています。胆振東部地震で北海道全域が停電するブラックアウトのときでも、乾電池を使用するプロパンガスのガスコンロは使用できました。災害対策という点でプロパンガスは心強い味方と言えるでしょう。
プロパンガスのデメリット
- ガス料金が高い
ガス料金が高い
プロパンガスのデメリットはガス料金が高いことです。下記表は東京都におけるプロパンガス料金の平均価格です。
1カ月の使用量 | プロパンガス料金 |
5㎥ | 4,945円 |
10㎥ | 8,073円 |
20㎥ | 14,160円 |
プロパンガス料金は都市ガス料金と比較して約2倍程度と言われています。仮に毎月10㎥ずつプロパンガスを使用する家庭の場合、都市ガスよりも毎月約4,000円程度の高いガス料金を支払う必要があります。年間で約5万円程度の差が生まれるので非常に大きなデメリットと言えるでしょう。
関連記事:都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違いは?仕組みやメリットやデメリットを解説!
オール電化のメリット・デメリット
オール電化住宅とは、家庭で使うすべてのエネルギーを電力で賄っている住宅のことです。お風呂やシャワーのお湯はエコキュートなどの電気温水器で、料理は電磁調理器で行いますので一切ガスを使用しません。
ここではオール電化のメリット・デメリットを紹介します。
オール電化のメリット
- 火を使わないので低リスク
- 光熱費を一つにまとめられる
火を使わないので低リスク
オール電化では一切火を使いません。お湯を沸かすのも、料理を作るのも、家庭の冷暖房も全て電気の力で機器を動かします。
ガスの場合、どうしても設備の老朽化などが原因でガス漏れや火災のリスクがあります。不完全燃焼を起こすと一酸化炭素中毒になる可能性もあります。オール電化住宅であれば、こうした火災リスクを大幅に低減できるでしょう。
光熱費を一つにまとめられる
プロパンガスの場合はガス料金と電気料金を別々で支払う必要がありますが、オール電化であれば電気料金だけを支払えば問題ありません。
このように、支払先が1つにまとまることで家計管理がラクになる点はオール電化のメリットと言えるでしょう。
オール電化のデメリット
- 初期費用が高い
初期費用が高い
オール電化は設備を導入するための初期費用が非常に高いです。ガスコンロ、エコキュート、床暖房などの導入費用は合計で100~200万円ほどかかると言われています。これに太陽光発電や蓄電池の導入費用を含めると300~400万円かかる場合もあるでしょう。
後述しますが、オール電化とプロパンガスの場合、光熱費はオール電化の方が安くなります。しかし、プロパンガスよりもオール電化の方が大幅に初期費用がかかる点には注意しましょう。
プロパンガスとオール電化の費用比較
続いて、プロパンガスとオール電化の初期費用と実際に毎月かかる光熱費を比較しました。
初期費用の比較
まず、プロパンガスを使用した一般住宅とオール電化住宅の導入費用を比較しました。
内訳 | 費用 | |
一般住宅(プロパンガス) | 配管工事費 | 5~10万円 |
ガスコンロ | 数万円~20万円 | |
給湯器 | 数万円~20万円 | |
オール電化住宅 | IHクッキングヒーター | 数万円~15万円 |
エコキュート | 30~100万円 | |
床暖房 | 50~60万円 |
従来からあるプロパンガスを使った一般住宅であれば、50万円前後で必要な設備を整えられますが、オール電化住宅の場合は100~150万円程度の予算を見積もる必要があります。そのため、初期費用はプロパンガスの方がお得と言えるでしょう。
毎月かかる光熱費の比較
初期費用と同じく大事なのが毎月のコストである光熱費です。光熱費を割り出すため、総務省統計局のデータと石油情報センターのデータ、関西電力が出しているオール電化の電気料金を比較してみました。
世帯人数 | 一般住宅 | オール電化 | |||
電気料金 | ガス料金 | 他の光熱費 | 合算合計 | 電気料金 | |
1人暮らし (5㎥) | 5,482円 | 6,816円 | 651円 | 12,949円 | 10,777円 |
2人暮らし (10㎥) | 9,183円 | 9,801円 | 1,311円 | 20,295円 | 13,406円 |
4人暮らし (20㎥) | 11,836円 | 15,418円 | 878円 | 28,132円 | 16,533円 |
両者を比較すると光熱費はオール電化住宅の方が安いとわかります。さらに、ガスの使用量が多くなる程、プロパンガスを使用した一般住宅とオール電化住宅の価格差はどんどん大きくなります。
まとめ
今回はプロパンガスとオール電化のどちらがお得かを比較・検討しました。料金だけを比較すると、初期費用はプロパンガスがお得であり、毎月かかる光熱費はオール電化住宅がお得です。
また、今回は比較の対象に入れていませんが太陽光発電とオール電化を組み合わせることで電気代を大幅に安くすることも可能です。
このように単純に初期費用やランニングコストだけで比較すると視野を狭めてしまうかもしれません。災害や火災のリスク、エネルギーコスト上昇のリスクなどを総合的に考えてどちらにするべきか決めることをおすすめします。
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